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補足します [病気とココロ]

前回の記載に、誤解があるといけないので。

まず、パーソナリティー障害について、立派な病気と言ったのは、
以前、昔ながらの「人格障害」ということばを使ったときに、
「それでは、病気とは言えないのですね」
と言われたことがあったからです。
パーソナリティー障害も、治療対象になる病気だと思います。
但し、うつ病とは異なる治療が必要だと思うのです。
実際、うつ病の治療をしていてもなかなか改善しないことがあります。
対症療法を行いながら、行動療法など取り入れる必要があるのかもしれません。

結構、抑うつ気分を伴うことが多いので、
鬱として対処されてしまうケースも多いのではないでしょうか。
なかなか対処法が難しい部分だと思います。

今、日本の心療内科をうたっている病院の多くは、
精神科医が心療内科を担当しています。
確かに、精神医学の分野に入ってきますので、
精神科の医師のほうがうまくこなせるのかもしれません。

私が心療内科にこだわっているのは、
身体の不調を訴える方の中に、
身体の問題だけを治療しても良くならない人が多いことを、
今まで何度も経験しているからです。
そして、自分自身もそうだからだと思います。
本当は、自分なんかにかからずに、
精神科の病院に行った方が良くなりそうな患者さんもたくさんいらっしゃいます。
なんと言っても、精神科のお医者さんは精神疾患の専門家ですから。
色んな対処法を持っているはずです。

外国では、精神科のかかりつけ医や、
かかりつけのカウンセラーを持つ人も、少なくありません。
しかしながら、残念なことに、
日本では、未だに精神科というと差別感があるようで、
精神科を毛嫌いする人が今でも多いと思います。
精神科がもっと気楽に受診できる場所になればいいと思います。

わたしは、あくまでも内科の医師として、
自分ができることを、自分の力の及ぶ範囲内で対処して行きたい、と思っています。
患者さんを一人の人間として、病気だけを見ずに対応して行きたい。
これが、私のスタイルです。

二次性うつと思いきや [病気とココロ]

彼女に振られて、うつになったということで、
その頃治療中だったお母さんから依頼を受けて
診察を開始した、20代半ばの男性。
うつ、という割には自分の好きなことであれば活動はできる、
自分の都合の悪いことにたいしては頭痛とかで逃げる
(本人は、本当に症状があるんだと思いますが。)
自分の思い通りにならないことには、拒否感強く、
人の話も右から左。
本来は、とても素直で、気の小さい人だと思うのですが、
その代わり、自己防衛本能のとても強いところがあり、
自分が攻撃されると、これでもか、というぐらい反撃してくる。
時には暴力もあり、本人もちょっとコントロールに困っている感じ。

今週初めに、彼のおばあさんの訪問看護に行っている看護師から、
彼の暴力の目撃情報があり、
ちょうど良かったので、家の様子を聞きたいと思い、
お母さんを呼んで、話を伺いました。

お母さんの話では、彼のおじいさんが、彼とそっくりで、
暴力もすごかったらしいです。
「いやになるくらい、にてるんです。」
ただし、おじいさんという人は、人に使われるのが嫌いだったため、
それなら、ということで1人で会社を興し、成功させてしまった、という
すごいパワーの持ち主。
そういうパワーは、彼は持ち合わせていないので、
そこが困ったところだと言います。

結論から言うと、彼はうつではありません。
最近多く見かける、ボーダーライン・パーソナリティー障害。
立派な病気ですが、うつとして対処すると、
全くよくならず。本人は、良くなりたいとの意思も薄いので、
治療はあまり有効ではありません。
根本的には、彼の意識改革が必要かな。
できれば、もっと自立させることが重要。
自立させて、自分の頭で考えて生活していくことが必要。
いままで、誰か何とかしてくれる、という考えで生活してきているので、
誰も何にもしてくれない、という意識に変えないとダメ。

色々な意味で、完全に自立することは難しいです。
私も、自立できてません。
ですが、何でも誰かが助けてくれる、という意識は働きませんよね。
自力でどうにかしなきゃいけない部分が、たくさんあります。
それが普通だと思うのですが、そういう意識がかけていると、
病的な感じになります。
良い自立心が必要ですね。

パーソナリティー障害もうつも、対処が難しいです。
時々、「私は精神科の医者じゃないんだよ~[ふらふら]
と叫びたくなります…

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