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医療と人間関係 [仕事のこと]

昔、お医者さんは「お医者様」といって、
ずいぶん敬われていたそうな。
その頃の医者は、多少やぶ医者であっても、
問題なく敬われていた。

現在、医者は選ばれるほう。
患者さんを医者が選ぶのではなく、
医者が患者さんに選ばれる。

医者が患者さんに選ばれるためには、
信頼関係を作る必要がある。
そのためには、治療の質と、医者の人間性が重要と思うのですが、
日本人には、それと同時に「権威主義」というのがある。

偉い人は、何をしてもいい、という暗黙の了解があるらしい。
下っ端になると、同じことをしても怒られる。

だから、できるだけ患者さんと仲良くなって、
信頼関係を築き、選んでもらえるようにする。
長く勤めていると、そんな患者さんも増えてきます。

もし、開業したら、このような患者さんたちは、
ついてきてくれるかな。
今までの診療を、できるだけ無駄にしないようにしたい。
一人でも、心も体も元気になってくれたら、
本当にうれしいんだけど。

患者さんをひとりひとり大切にできるクリニック。
それが私の理想です。

認知症 [仕事のこと]

ずっと見ている患者さんが、認知症になって、
認知症がどんどん悪くなるのを見ているのは、
とってもつらいですね。
まあ、みんな年は取るので、
そんな覚悟もできていないわけではないのですが。

先日、うちのクリニックの看護師長が
面白いことをテレビで仕入れてきたといって、教えてくれました。
それは、

アルツハイマーは病気ではない。環境さえ整えてあげれば薬はいらない。

なるほどね、と思ってしまいました。
この意見は、相当過激のようにも思いますが、
一理ありますよね。
環境がその人に合っていると、
落ち着いて、穏やかに過ごせます。
こんな人生もありなんですけど、
日本での現実社会、こんな風に整えることができるのは、
本当にまれですよね。

自分の家族には、最期まで幸せに暮らしてほしい、
そう思ってやみません。

開業 [仕事のこと]

本気で考え始めました。
自分の理想を実現することを。
今までは、きっと成功しないだろう、と
積極的になれなかったのですが、
いろいろなことがあったので、少し気分が変わりました。

今のクリニックでは、自分の理想が実現できない。
今のクリニックでは、とても立場が微妙。
今のクリニックでは、納得がいかないことが多すぎる。

しばらくは、ここで我慢しなきゃいけないかな。
と、思っているのですが、
もう、我慢しなくてもいいよな、
と思ってしまっています。

自分にどれだけのことができるかわかりませんが、
1年以内に開業することを目指して、
頑張っていきたいと思っています。

ターミナルケア [仕事のこと]

ターミナルケア、というと、一般的にはがんの終末期医療と思われているでしょう。
でも、老年期の、老衰の終末期も、一種のターミナルケア。
ターミナルケアにはいろいろな考え方があるので、
何が正しいか、判断に困ることもしばしばです。

ただし、苦痛を少なくして、QOL(生活の質)を高めること。
これだけは絶対に必要なことだと思います。
患者さんが何を求めているか、
家族がどう考えているか、
よく話し合うことから、ターミナルケアは始まると思います。


以前、訪問診療を担当していたことがあります。
訪問診療の対象者は、ほとんどが寝たきりのお年寄り。
当然、そこにターミナルケアの考え方が発生してきます。
対象の方には、多くの場合、訪問看護師がかかわっているので、
彼女たちと一緒に、ご家族と話し合いを重ね、
どのような形で最期を迎えるか、を、決めていきます。

私がかかわった方の多くは、
入院して最期を迎えるのではなく、
自宅で最期まで療養できていました。
現在、多くの人が病院で亡くなっているのに、
自宅で最期が迎えられるのは、
なんて幸せなんだろう、と思ってしまいます。

何人かの最後に立ち会わせていただきました。
みなさんとても良い表情をなさっていて、
本当に安心して最期を迎えられたんだろう、と、
ほっとした気分になったものです。

がんの終末期の患者さんにしても、
老衰の終末期の患者さんにしても、
できるだけ自宅で過ごさせてあげたい。
確かに共働きで、というと難しいのかもしれませんが、
自分も家にいるのが好きだから、
自宅で落ち着いて最期が迎えられるようにしたい。

現代社会では、とても難しそうですけど。

内科のお医者さんは何でも屋 [仕事のこと]

そう思っている人は、今も結構多いのではないでしょうか?

いやいや、結構専門外のものを見るのは、怖いものがあります。
まず、整形外科、耳鼻科、眼科は全くわかりませんし、
皮膚科の疾患も、わかりやすいのなら良いけど、
そうでないと、怖いですね。
内科的疾患でも、人間には得意分野、不得意分野というのがあって、
全部がわかるわけではないのです。

私が怖いのは、循環器系。
だから、今の職場では、院長が循環器科の医者なので、
循環器系は院長にお任せです。
そのほかは、何とか。
専門が血液科(といってしまったら、怒られそうですが)なので、
血液腫瘍関係の守備範囲は広いです。
あと、心療内科。ストレスがらみの疾患をよく診ています。

そうはいっても、専門外だから、といって外来の患者さんを診ないわけにはいきません。
まあ、精密検査が必要で、専門家が見た方が良いと思えば、
そうお話はしますが、
それでも、患者さんたちは、とりあえず内科の病院に行けば、
どうにかしてくれるだろう、と思っているようなところ、ありませんか?

大学病院で、それを振り分ける初診の医者が必要、と思ったために
生まれたのが、そもそもの総合診療科。
それぞれの専門に、的確に振り分けるための医者です。
診断のプロフェッショナル、とでも言うのかな。
かっこいいですよね。

大学病院では、そんな科もあっても良いのでしょうが、
一般病院ではそうはいきません。
結局、内科と看板を掲げている医者が、
何でも屋のように、いろんな病気を診るしかない。
でも、患者さんにしてみれば、どこにかかったら良いかわからないような病気も
内科に行けばとりあえず見てくれて、どうしたら良いか、教えてくれる。
内科って、良い科だ。ってことになるのかな。

普通の病気であれば、だいたいどんな科にかかれば良いか、
判断はしやすいと思います。
しかし、ストレスがらみの、なんだかわからない症状は、
どこにかかったら良いかわからないことが多いようですね。
とりあえず、内科に、でも良いのですが、
そんなときにちょっと相談ができる場所があると良いですよね。

そんな場所、作ってみました。Hearty Clinic の無料メール相談。
無料メール相談は、どこに受診したら良いか、受診するまでの間、どうしたら良いか。
という、ちょっとしたことの相談窓口です。
本格的に、色々お話ししたい方は、
メール交換による簡易カウンセリングをご用意しております。

ホームページOPEN!! [仕事のこと]

ようやく開設します。
ここから、なにができるかわかりませんが、私にできることを少しずつやっていきたいと思っています。

アドレスは…

携帯からリンク貼れなかった…




外来診療のこと [仕事のこと]

今日は、午後の仕事が終了予定時刻よりも1時間も余計にかかってしまいました。
なんだか、夕方近くになってから、来院された方が多くて、
途中までは、何とか時間を少し過ぎる程度で終わりそうだ、と思ったのですが、
その後、急激に患者さん増加。
夕方近くにいらした方は、大変お待たせしてしまいました。

今日は、待たされてもいやな顔をせずに待ってくださった方が多かったので、
助かりました。
苦笑していらっしゃった方はいらっしゃいましたが。

私の外来、1人にかかる時間がほかの医師よりも多いようで、
先日は、そのことで患者さんよりおしかりを受けてしまいました。
ただ、せっかく病院にかかるのですから、
全くしゃべらずにお帰りいただくのもどうかと思うので、
しゃべっていただいてからお帰りいただくようにしています。
ストレスって、どんな方でもつらいと思うので、
少しお話ししていただければ、多少は元気になって帰っていただけるのが、
私としてはうれしいんです。
でも、ただ病院は薬をくれれば良いところ、と思っている方にとっては、
私の外来はとても煩わしい外来なんでしょうね。

医者は、患者さんを選ぶことができないのが普通です。
でも、患者さんは医者を選ぶことができます。
医者選びの重要な点は、自分の要求にきちんと応えてくれるかどうかだと思います。
満足できるような対応をしてくれる医者にかかるべきです。
もし、満足できないのであれば、
何がいけないのか、担当医に教えていただけると、
こちらの方も成長します。


今日は、とにかく気分も乗らないところでなかなか進まず、
自分としてはいっぱいいっぱい。
お待たせした患者さん、そして最後までつきあってくださったクリニックスタッフに感謝。
ありがとうございました。

もっと、速く外来が進められるように、修行します…

医者はスーパーマン!? [仕事のこと]

時々勘違いしている方がいらっしゃるかと。
医者はなんでも知っていて、なんでもできる、って。
とんでもない!!(^_^;)
医者だって、普通の人間です。

時々、医者は一人で何十人もの外来患者さんの診察をしているのに、
自分の番がなかなか来なかったり、
自分の診察時間が短かったりして文句を言われるのも、
じっと聞いていないといけなくて、
何だか理不尽な職業だな〜、と思ったり。

医者には何を言ってもいい、というのを、
医者本人を傷つけてもいい、と勘違いする人がいたりして。

時々、私も人間なので、不満が爆発しそうになります。

気をつけておこう。

実用化にこぎ着けたら、本当にすごい。 [仕事のこと]



なるほど、というか、当然でしょう、というか。
今まで実用化されなかったのは、やっぱり遺伝子レベルでの改変が必要だったからかしら。
そうだとすれば、本当に、最近の遺伝子レベルでの治療はすごい。
細胞の性質を変えてしまって、有害細胞のみに機能を発揮させるなんて。
今回3例のみの報告ですが、ほかに試したりしたのかしら、と思います。
数百例のうちの3例では、どうかと思いますが、
3例中3例、効果が上がったとなると、これは画期的な治療ですよね。

以前、大学病院にいたときに、血液科をやっていたので、
化学療法のつらい状態とか、ずっと見てきました。
治療はしてあげたいけど、
あのつらさは見ているのが本当につらい。
そういうつらさがないのなら、本当にすごい。

是非とも、一般の病院でも使える技術に、
一刻も早くなってほしいものです。


最近、更新をサボり気味です。すみません。
いろいろ、今企画中です。
近日公開予定。
乞うご期待!

認知症 [仕事のこと]

本人は、何となく気づいているかもしれませんね。
でも、だからこそ、すごく不安で、苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
逆に、家族の方が気がついていないこともあるかもしれません。

以前、「物忘れがひどくて」
と言う患者さんが、認知症の検査をしたら、軽度の認知症と診断されました。
その方は女性で、認知症とわかったときには相当ショックだったといいます。
これから、何もわからなくなったら、どうしよう、と言う不安がずっとあったそうです。
彼女は、あるとき考え方を変えたそうです。
「どうせ、いつかわからなくなるんなら、今を楽しみたい。
色々考えすぎずに、今、楽しく過ごしていきたい。」
それからというもの、彼女はとても明るくなりました。
認知症デイケアに行き始めてから、またさらに、毎日楽しくて仕方が無い、と
にこにこ過ごせるようになりました。

認知症と診断されるずっと以前から、
うつ病として治療していた方でした。
認知症と診断されてから、うつ病の方はおさまっているようです。

何をきっかけに、病気が進行するのか、良くなるのか、
そのときの運でもありますね。
彼女は、認知症という、新たな病気を背負いましたが、
その代わり、うつ病は半分以上下ろせたと思います。
彼女にとって、人生が楽しくなったのなら、それは良かったのかもしれません。

認知症は、すごく悪者のように思われがちですが、
それは、どの側面を見て、なのでしょうね。
認知症は必ずしも悪者ではない、と、私は思います。
自分のことができなくなる、というのは困ったことかもしれませんが、
長い人生の中で、今まで一生懸命家族のために尽くしてきた人を、
ないがしろにするのは、とても悲しいことです。

もっとも、日本の現状で、仕事をしながら、家族を介護するのは非常に大変なことですが。

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