病気、治りたいですか？

変な質問をする、と思う方もいらっしゃるでしょう。
でも、よく考えてみてください。
そのままでもいいかな、なんて思っていないでしょうか。

最近、患者さんの中には、あまり治りたいと思っていないのではないか、と
思える方がいらっしゃいます。
病気のままの方が楽なのかな。
病気でいる、ということが、自分の中で大きな位置を占めているのかもしれません。

夫が、交流分析のお勉強（学校で教えるために）をしています。
分析すると、ある種の人は、病気になることで優越感を得るそうなんです。
病気になることで、色々な人との関わりが増える。
しかも、病気ということで、注目される。
さらに、病気が治らないことで、
自分の病気は医者にも治せない、ということでの優越感を感じる。

なるほどね。
何となく理解できます、その気持ち。
自分にも、その気持ちが全くない、とはいえません。
自分も、病気が治らなくてもいい、と思うことがあるのは確か。
特に、胃炎、胃潰瘍。
治らなければ、それだけ仕事がつらいんだ、というアピールになる、
なんていう、すごくくだらないことを考えたりする。

きっと、私みたいな患者さんのことをいっているのかとおもいます。
でも、私は意識的にそう思っているのですが、
やっかいなのは、全く自覚無いのに、深層心理でそう思っている人がいること。
それは、どんなことをしても良くなりません。
しかも、今の世の中、そんな人が多いと思われること。
時々、外来診察していても、
「このひと、どのくらい本気で治りたいと思っているのかな」
と思ってしまう人がいます。

病気をよくするのは、薬でも、医者でもなく、
自分自身なんです。
それを認識してくださいね。

自分自身を、大事にしてあげてくださいね。

コメント 4

「まさにその通り！」と思いました。

長くうつ病になっていると、いつの間にか『治らない→だったら最初から治ることを期待しないでいよう→治りたいという気持ちもなくなる』・・・と、なったことが思い出されます。

闘病中の方には『よくなりたい・・・という気持ちを忘れていませんか』と声をかけるのは、とてつもなく大事なことだと思います。

ここに書かれていることが広まれば、もっと病気への理解も広がるのではと思い、コメントさせていただきました。
by クッシー (2011-06-07 22:47) 

クッシーさま
コメントありがとうございました。

本当に、長く病気でいると、病気でいることが普通になってしまうんですよね。
誰でも、良くなるための力は持っているのに、
良くなろう、という気持ちが希薄になってしまうから、
何となく良くならないような気がしてしまう。

きっと、誰でもはじめは良くなりたいと思っていたのでしょうね。
それを思い出させる、というのも、私たち医師の役目かもしれません。
by penpen (2011-06-07 23:40) 

やっぱりプロフェショナルは違いますね。それは鬱状態の人間にとってすごく大事なテーマです。俺は病気なんだからしょうがない。それで色んなことから逃げて病気のせいにしてしまうんす。つらい事があったらここに逃げ込んで言い訳すればいいやって、セイフティゾーンを作ってしまうんでしょう。俺さんは今日ちょっとピークで久しぶりに安定剤を多めに服用しましたが、ある大事なミーティングがあって、気分が悪いんで避けようとしました。でもそのミーティングは出てよかったと思える内容の濃いもので、頑張ろうと心から思えるものでした。
病気と向かい合い、きっと治して見せる。セイフティゾーンに逃げるのは簡単です。
「俺はこっち！」って線を跨げばいいんですから。でも良くなる。治して見せるって感じることが大切なんですね。俺さんは今日は全く駄目でした。日々予測不能な自分の精神力に自信が持てなくて落ち込みます。昨日はあんなに元気だったのに。でもいつの間にかpenpen
さんの言葉に叱咤激励、そして気付かされます。明日も頑張ります。
by higu (2011-06-08 01:04) 

higuさん、大丈夫ですか？
大きな波、小さな波はありますから、
無理せず、力を抜きながら過ごしてくださいね。

何にしても、治るんだ、ということを信じることは大切です。
薬も、半信半疑で飲むよりは、効くんだと信じて飲む方が効きます。
毎日調子が違うのは、当然ですから、
毎日の気分の上がり下がりで一喜一憂する必要は無いですよ。
波を作りながら、少しずつでも確実に右上がりに良くなっていけば、
それはすごいことだと思います。

毎日の生活の中で、
少しでも自分にプラスになることがあれば、
それは本当に素敵なことですね。
いやだなあ、と思っていても、その中で自分のためになることを
少しでも見つけていって、自分のものにできると、
とってもすばらしいと思います。

どんなことも、自分にとって意味の無いことはないと思っています。
このようなブログの中のつながりも、自分にはとても大切。
これからも、よろしくお願いいたします。
by penpen (2011-06-08 20:43)