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がんの治療は、どこまでするべき? [治療について]

治療と言っても、がんの治療のお話です。

がんの治療は、ご存じのように手術と化学療法、放射線療法に
大まかに分けられます。
多くのがんが、手術による治療が、一番治癒率が高い。
手術できないがんは、予後が悪いものが多い。

手術できないものの代表は、
白血病、リンパ腫。
そして、すべてのがんの転移性腫瘍を伴うもの。

つまり、転移があれば、がんは手術しないことが多い。
ただし、転移があったとしても、苦痛を取り除く目的があれば、
手術をすることがある。

なんで、こんなことを思ったかというと、
今、肺がんの末期の患者さんがいて、
いくら説明しても、手術ができないことを納得してくれなくて。
しかも、うちの院長も、もっと治療ができると思っているらしく、
苦痛を取り除くどころか、苦痛を助長していて。
なんか、それを見ていたら、自分がやっていることが、
どこまで患者さんのためになるのかが、不安になってきて。

その方は、すでに全身に痛みを生じていて、
肝臓への転移もあって、腹水もたまってきていて。
胸水が大量にあるけど、抜けきれなくて。
血痰は日に日に増えてきていて。
でも、自分がどれだけ悪いか、理解したくないようで。

このような場合、患者さんの何を持って
患者さんの幸せ、というのでしょうかね。
胸水がたまっているのは苦しいので、
胸水を抜いてあげれば、呼吸は楽になるかもしれない。
でも、それと同時に体の中の栄養素とかも抜けてしまうために、
体を危険にさらすことになる。

痛みどめは、腎臓を悪くする、というけれども、
これから先、長くない人生と考えれば、
腎臓を悪くすることを考えるよりも、
苦痛なく残りの人生を過ごしてほしいと思う。

緩和ケアに移行するのは、どの時点か、というのは
とても難しい問題です。
ですが、手の施しようがないと判断した場合、
やはり、患者さんのQOLを大切にしたい。
そう思ってやみません。

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