うつと励まし [病気とココロ]
こんな本がありました。
かなり過激に、今までのうつ病診療についての批判がなされているのですが、
おもしろい本です。
精神科の先生が書いている本ですが、ご自身の診療に大変自信を持っていらっしゃって、
旧来の診療方法に批判的で、でもその批判的な部分は理にかなっている部分で、
まだじっくり読んではいませんが、書いてあることはいちいちもっともなことです。
今まで、うつ病は励ますことをしてはいけない、といわれていましたね。
それは、多くの人がご存じだと思います。
じゃあ、どうするか。
ある高校では、うつ病の診断が下ってしまったら、
みんなが腫れ物に触るかのように大事にして、
「疲れたら休みなさい」とかいってくれて、
積極的に学校を休ませようとするそうです。
じゃあ、みんなうつ病の診断をつけてもらいたくなりますよね。
今の日本では、うつ病といえばみんながいたわってくれる。
仕事は休んでいいし、無理するな、といってくれる。
でも、うつ病の人みんなが、本当に休む必要があるのかといえば、そんなことはない。
励ますのがいけないのか、というと、そんなこともない。
すべてケースバイケースで、
人によって全くやりようが違ってきます。
冒頭の本の著者は、
「自殺をするな、というのも、励ましに入る。これもいけない、というのでしょうか。」
ということを書いています。
私個人の考えでは、以前にも書いたのですが、
うつ病でも励まさないといけないときはある。
励ましが有効であることも多い。
励ましてはいけないひとは、診察すればわかるので、
そのような人は励ましません。
そうでない人は、励ますことがかえって病気をよくすることもある。
声のかけ方で、患者さんは変わる、ということを
医療者は認識するべきだと思います。
うつは、励ましてもいい場合が多いです。
不用意に励まさない方がいいのは確か。
上手に励まし合って、上手に褒め合って、上手に毎日を過ごしていきましょう。