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元気の源 [病気とココロ]

今日、本当は受診予定だった女性が、
昨日誤ってハイターを飲んでしまったとのこと、
日大病院に急遽入院となったそうです。
どうしてかな、と色々考えていました。
彼女の元気の源は無事だったのかな、と心配になりました。

彼女は、とても厳格な両親に育てられ、
クラシックバレエをやっていて、
とっても自信にみちた生活をかつては送っていたのだと思います。
あるとき、急に膝が抜けるような感覚があり、
続いて両手が硬直してきてしまいました。
病院で検査を受けても、神経にも筋肉にも骨にも異常が無く、
ただ動かなくなってしまったそうです。
整形外科、神経内科で診察を受けた後、リハビリをすれば良くなるかもしれない、
ということでリハビリを開始しましが、リハビリに通うのが大変だったので、
途中でやめてしまいました。
その間に、整形外科の先生の紹介で心療内科にもかかるようになり、
私の師匠に当たる先生にかかるようになりました。

何の縁あってか、今年の冬、足のけががひどいと言うことで、
家に近かった当院にかかり、何度か消毒や抗生剤の点滴のために
足を運んでいた中で、私と出会いました。

当院にかかり始めた彼女は、はじめは3ヶ月ほど引きこもり生活をしていたために
とてもひどい状態でした。
とりあえず、足のけがを良くしよう、という気持ちが芽生えただけ、
少しは以前よりは良くなった、という感じだったのでしょう。
色々話しているうちに、実はとっても頑張り屋さんで、
負けず嫌いだと言うことがわかりました。
はじめの頃は表情も暗くて、これは大変な人を引き受けた、と思ったものでしたが、
何回か面接を重ねていくうちに、少しずつ元気を取り戻し、
表情も多彩になってきました。

本人も、ずいぶん気持ちもカラダも楽になってきたのでしょう。
身体が動くようになったから、もっと動けるようにならなきゃ、
ということで、自主トレを始めました。
ずいぶんがんばっていたようで、1週間ごとに体力がついてくるのがわかるほどでした。
でも、自分としてはまだまだ足りない、
それに、元気になったから、動ける、ということで、
自分の体力をフルに使ってリハビリをしていました。

元気で、動けることはいいことです。
動ければ楽しいし、自分の好きなことを一生懸命やると、気持ちが良くなるし、
充実した感じがするので、とにかく今まで動けなかった分を取り戻そうとして、
がんばってしまう。
がんばればがんばるほど、もっともっと、という焦燥感が強くなって、
さらにがんばってしまう。
そうすると、ある日突然エネルギーが切れたロボットのように
動けなくなってしまう。
そうすると、リバウンド。
以前より悪くなる可能性が出てくる。
こんな状態の一歩手前だったのかもしれません。

彼女には、「がんばりすぎだよ、今の半分ぐらいで十分だよ。」
と、毎回のように声をかけていました。
彼女も、いわれると、そうか、と思うようで、
「わかった、注意する」というのですが、
結局、家に帰ってしまえば私には見えないので、
どれだけがんばっていたのだろう、と思ってしまいます。

5月の連休後にあった彼女は、
引きこもりの直後と同じような状態になっていました。

きっと、がんばりすぎて、元気が涸渇してしまったのでしょうね。

元気は、無尽蔵ではありません。
元気が少したまってくると、
うつで苦しんでいた方は、ちょっと動けるようになるので、
いっぱい動いてしまうんです。
でも、そういうときは要注意で、
少しずつ力を温存しながら動かないと、
力が涸渇してしまい、力、元気の源までもだめにしてしまいます。

動けるとき、フルパワーを出し切らずに、
50%ほど温存していくようにすると、
パワーは長持ちします。
長持ちさせている間に、治療がうまくいくと、
病気自体もとても良くなります。

私自身も気をつけないといけないところではあるのですが、
パワーは全開にしないこと。
少しずつ温存しながら、元気を使うこと。
元気の源には、常に元気を少しずつためておくこと。

これが、病気を悪化させないで、
病気(うつ、自律神経失調など)とうまくつきあいながら
病気をよくする、最高の方法ではないかと思います。

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